かみさまかみさま。

この地球人姿の蛙どもに日本国憲法というものを叩き込んでください。










「だーかーらッ!コイツはボクのモノだって言ってるでショっ!?」
「クックック…分かってねェなぁ、お前のモノ以前に俺のモンなんだっての」
「…あの…」

ガルル小隊が定期視察(あそび)に来た。
話には聞いていたが、私は実際見るのは初めてだったので、少しどきどきしていたり。
けど、実際のところ結構愉快な人たちだったりして、少し安心。
今日はのんびりした微笑ましい日々になる――と思えていたのもたかだか数十分。
ガルル小隊の作戦通信参謀・トロロ新兵に気に入られ、『自分のモノ宣言』をされてしまった。
厄介なことに、普段から絡んでくるウザいケロロ小隊作戦通信参謀・クルル曹長がそれに反応。
お互いに譲らないもんだから、この下らない言い合いはエンドレスで。
…それから数時間。
この人権無視の会話は終わる様子がない。

「俺のモンとかいったって別にと付き合ってるわけじゃないんでショ!?」
「少なくとも初顔合わせのお前よりは好かれてると思うがなぁ?クーックックック」
「そんなのわかんないよ〜?毛虫みたいに嫌われてるかもしれないじゃん!プップップ〜!」
「…調子に乗るなよ、お子ちゃまが」
「子ども扱いすんなぁー!!」

私に言わせれば、どちらもお子様もいいところである。
大体、私はどちらが好きだとも嫌いだとも言ってはいないのだから、
想像だけで果てしなく突っ走ることこそお子様の証明であろう。
…まぁ、そういうオトナがいないとは言わないが。

「えーと…2人とも?」
「「は黙ってろ(て)!!」」
「……………」

自分の事なのに口出しできないこの理不尽さ。
どこに行った日本国憲法人権擁護法案。

「…はぁ」

嫌だなぁ。
そんなことを、少し思う。
こういう騒がしいのは、あまり好きじゃない。
好かれるのは嬉しいけれど、こんなに大騒ぎされちゃたまらない。





――ひゅっ





刹那。
風が吹いた気がした。
まばたきひとつの後、私がいたのは…屋根の上。

「え?あ、あれっ!?なっ、何でこんなところに…!?」
「…嫌、だったのだろう?」
「ッ!?」

ばっ、と声のしたほうに顔を向ける。
そこにいたのは、ガルル小隊の暗殺兵(アサシン)・ゾルル兵長だった。
しかも、私の左腕をしっかり掴んでいる。
この状況から察するに、彼があそこから連れ出してくれたのであろう事は容易に想像できた。

「…ありがとう、なのかな。でも、何で…?」
「…暗殺兵術(アサシンマジック)、読心鬼属。悪いが…お前の心、読ませてもらった」
「…はぁ」
「……………」
「……………」

…さっきから妙に『…』が多い会話だ。
でも、こういう空気は嫌いじゃない。
騒がしいよりずっといいし、それに…なぜだろう、ゾルル兵長の隣は心地良い気がする。
…腕掴まれっぱなしなのは気になるが。

「…さっき」
「?」
「さっき…騒がしくて、嫌だったのだろう?…何故、逃げなかった?」
「え、いや、だって…その」
「嫌だと思ったなら、言えばいい。…オレは、お前を助けたかった。だから助けた。
 これは、自分の意思だ。欲しいものは…自分の意思で掴み取らなければ、意味がない」

腕を強く引っ張られる。
自然、ゾルル兵長の腕の中に納まる形になって。

「――っ!!?」
「オレは、お前を助けたい。…できるなら、ずっと…傍にいて、守り続けたい。
 お前が腕の中にいる今を、手に入れた。失いたく、ない。
 …嫌なら、言えばいい。お前が嫌なことは…したくない」

どきんどきんどきんどきんどきん。
心臓の音が煩い。
冷たい腕で抱かれて、それでも体が熱くなる。
それが当たり前だと思う。
ずっと傍にいて守りたいと、言われた。
そんなこと言われてパニックにならないほど、私は場数を踏んでいない。

「わっ、わ、わたっ、私っ…!」
「…どうした?」
「あ、あのっ、私、ゾルル兵長と一緒にいるのは、あの、そんなに嫌じゃなくて、
 えっと、その、どっちかって言うと楽しい?っていうか、落ち着くって感じでっ。
 だっ、だから…こういう風にされても、嫌じゃ、なくって…その、つまり」
「…つまり?」

頭の中がこんがらがって、上手く言葉が出てこない。
ゾルル兵長と一緒にいるのは、嫌じゃない。むしろ落ち着く。
だから…。

「…よ、よろしくお願いしますっ!」

きゅ、と、私を抱く力が少しだけ強くなる。
顔はよく見えなかったけれど、…彼は多分、微笑っていた、と、思う。



腕の隙間から見た夕日が、とても綺麗だった。















「あれ?ちゃんどこ行ったの?」

――夏美のその言葉で、黄色頭とオレンジ頭が『がいない』ことに気付いたのは、
がいなくなってから1時間ほど後の話。















07.掴み取る現在















fin




atogaki
 10000HIT記念フリー夢小説。
 深様リクで、トロロvsクルル甘夢…。
 どう見てもゾルル夢です本当にありがとうございましt(轢殺
 オチは誰でもいいということだったので…でも こ れ は ひ ど い 。
 しかもゾルルのキャラ激しく間違ってる気がしますorz
 お持ち帰りは自由ですが、サイト掲載の際にはご一報あれ( ´ω`)ノ

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