時間は一直線で、止まることを知らない。
だから、真っ直ぐに、迷うことなく、歩んで行こうと思っていた。
…こいつに出会うまでは。











「…何の真似ですか、曹長」
「いいじゃねーか。楽しいだろ?クックック」
「…私は別に楽しくないですよ…」

思いっきり溜息をつく。
今、自分の目の前にいる青年――クルル曹長は、普段は蛙の如き二頭身のケロン人――、
――すなわち、自分たち地球人からすれば異形の『宇宙人』だ。
それが何故か、きらめく長い金髪と紅宝珠(ルビー)のような瞳を持つ地球人の姿になっている。
まぁ、宇宙的超頭脳を持つ彼にならできないことはないのだろうが…。

「普段は見下ろしてる相手に見下ろされるってのはどんな気分だい?」
「最悪」

忌憚のない率直な感想。

「それに、捕まえられるのは好きじゃない」
「ご機嫌斜めだねェ、…クーックック」
「当たり前だっつの」

私は今、地球人化したクルル曹長の腕の中にいる。
逃げ出したくて仕方ないのだが、それをしている相手があんまり幸せそうなんで、
ほだされるというか誤魔化されるというか…抵抗する気が削がれてしまうのだ。
…全く。

「曹長といると、調子が狂って困る」

迷うこと。立ち止まること。
そんな余計なこと、したくなんてなかった。
まして寄り道なんて禁忌だった。
それなのに、この厄介な宇宙人に出会ってからというもの、
悩み迷い躓き、立ち止まっては振り返って。

「でもよ、お前さ、出会った頃よりずいぶん人間らしくなったんじゃねぇの?」
「人間…らしく?」

そんなこと、考えたこともなかった。
時間は一直線で、止まることを知らない。
だから、真っ直ぐに、迷うことなく、歩んで行こうと思っていた。
私は…そのために何処かに何かを置き去りにしていたのかもしれない。
…宇宙人に気づかされるなんて、思いもしなかった。

「こっちのほうが、楽しいだろ?」

くっくっくと、心底楽しそうに、笑う。
やたらめったら嫌味なその笑みを見て、何処か心が温かくなるのは
私が『人間らしくなった』せい?それとも…。

「俺の隣にいるべきオンナが仏頂面してるんじゃ、格好もつかねェしな」
「は?」

どういう意味かと問う前に、唇を塞がれる。
もちろん、彼のそれで。

思考が、時間が、止まる。

もちろん時間が止まるはずはなくて、時計は時間を刻み心臓は鼓動するけれど、
それでもこの一瞬は、時間が止まったような気が、した。

「…どういうつもりですか、曹長」
「欲しいモンは絶対に手に入れるつもり。もちろん、お前も例外じゃねェぜ?」

その答えは答えになっていなかったけれど、意味を理解するには十分だった。
顔に一気に熱が集中する。
私の反応に満足したのか、彼はにぃっと笑み、再び唇を近づけて――。










時間は一直線で、止まることを知らない。
だから、真っ直ぐに、迷うことなく、歩んで行こうと思っていた。

でも、迷うことで見つかることもあるから。
きっと、立ち止まることで気づくこともあるから。

まだまだ寄り道が好きだとはいえないけれど、
たまには寄り道するのも悪くないかな、と、思った。



















01.未来への寄り道















fin




atogaki
 10000HIT記念フリー夢小説。
 Momoko様リク、『激甘クルル夢』……………
 ……………げきあまって、ナンデスカ?(ぁ
 無理です無理でしたホントごめんなさいこれが限界ですorz
 いつもどおり名前変換少ないです。本当に夢か!?でも最初は名前変換なかっt(ry
 逝ッテラッシャイ!!( ゚田゚)○)`ν゚)・;'.、逝ッテキマス!!
 お持ち帰りは自由ですが、サイト掲載の際にはご一報あれ( ´ω`)ノ

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