誰かに愛して欲しかった。




















fallin' angel




















『スキ』なんて言葉は信じられないし
っていうかこの言葉をくれるヒトさえいないし
『アイ』なんてそもそもアイマイなもので

わかってるんだけどなぁ。
それでも本物の愛が欲しい。
誰かに愛して欲しい。





「ゼフィ…」
「あれ?どしたの、

GP-01。ゼフィランサス。幼馴染。ケンカトモダチ。
ふとした瞬間に無性に会いたくなる存在。
その瞬間というのはホントに突然訪れる。
そう、たとえば今みたいに。

「会いたくなったの、ゼフィに」
「オレに?」
「うん」

今、気持ち悪いぐらい、自分のココロに素直な自分がいる。
思ったことが、そのまま口に出てしまう。

「熱でもあんの?変だよ、オマエ」
「だって、空が、蒼いから」
「空…?」
「澄んでて、拡くて、高くて、ひとりぼっちだったんだ」
「何、言ってんだよ」

空を見上げていたら、寂しくなったの。
真っ青な世界に置いてきぼりにされたみたいで。
本当は、分かってるんだよ。
あたしの世界は、ひとりぼっちなんかじゃないってコト。
ステイメンがいて、サイサリスがいて、――ゼフィがいて…。
ちっとも寂しくなんかない、世界。
でもね、ときどき不安になるの。
これ、全部夢なんじゃないか、って。
目がさめたら何にもなくって、あたしひとりしかいないんじゃないかとか。
それともあたしの存在自体が夢で、いつか消えてしまうんじゃないかとか。
不安で、怖くて…押し潰されそうになる。

「ねぇ、あたし、ここにいるよね?」

怖い。
消えてしまうことが、怖い。
忘れられてしまうことが、怖い。

「ゼフィは、ここにいるよね?」

誰かにアイされたい。
あたしを確かめていて欲しい。
この世界に繋ぎ留めておいて欲しい。

「――ひとりは、嫌だよ…」

ふわり。
いつの間にかキツく握り締めていた拳に、誰かの手が添えられる。
もちろんそれは、ゼフィの手。
優しくて、暖かい。

「オレ、ずっとお前の傍にいるよ?」

涙が、零れた。
留まることなく。
このコトバだけが真実であればいい。
たとえこの世の全てが夢だとしても。

消えてもいい。
忘れられてもいい。
ただ、愛して欲しい。
たったひとり、大切な人に。

コトバじゃない。
この温もりと、優しさが。
あたしの求めていたもの。

ゼフィが何考えてるかなんて分からない。
もしかしたら何も考えてないのかもしれない。
きっと深いことなんて考えてない。
ただのあたしに都合のいい思い込み。





『スキ』なんて言葉は信じられないし
っていうかこの言葉をくれるヒトさえいないし
『アイ』なんてそもそもアイマイなもので



それでも、あたしは彼の内に堕ちて行く。




















fin




atogaki
 SDガンダムFC劇場より、GP-01夢。
 基本的に擬人化の方向で。
 横暴兄貴のハズが、なんか白いですね。
 多分増えます。FC劇場夢。